■2019(令和元)年10月20日(日) 晴ときどき曇
朝、目覚めたら、4時55分。
しまった! 目覚まし時計のスイッチ入れるの忘れた!
慌てて飛び起き、15分で身支度。自転車に飛び乗り、夜明け前の暗い中、前照灯を点けて漕ぎ出しました。
前日にしっかり準備しておいたことが幸いしました。
それにしても、ギリギリの時間でよく起きることができたものです。日頃から早く起きる習慣が身についていたのが良かったのかもしれません。
ともあれ、JR金山駅6時02分発の電車に乗ることができてホッとしました。
6時20分、名古屋始発、のぞみ95号13号車18列C席、つまり、進行方向に向かって一番後の座席に座りました。この席にすると、壁とシートの間に輪行袋を置くことができるのです。
新大阪に到着するまでの50分で、朝食、歯磨きを済ませました。
能登半島一周、富士山一周、伊豆半島一周、しまなみ海道往復。宿泊してのサイクリング経験です。
かねてから行きたかった淡路島一周(通称「アワイチ」)が、ようやく実現しました。
宿泊サイクリングには、休み(時間)、天候、宿泊先の3点セットが揃わないと行けません。もちろん体調がいいことが前提ですが。
再雇用の身分となり休みが取りやすくなったこと、2日間とも天気が晴の予報だったこと、なんとか宿が取れたこと、と条件が整いました。
7時10分に新大阪着、7時15分発快速姫路行きの一番後ろの車両に滑り込みで乗車できました。本来ならトイレのある先頭車両になりたかったのですが、そこまで行く時間がありませんでした。しかし、幸いなことに車椅子スペースのある車両で、邪魔にならない場所に輪行袋を置くことができました。
通常、JR在来線の場合、一番西側の車両にトイレがあり、その前は車椅子スペースになっています(古い車両だと座席になっています)。輪行するときはここが狙い目です。
8時12分、明石駅着。
自転車を輪行袋から取り出し、セットして、さあ、出発です。
明石港の淡路ジェノバラインの乗り場は、駅を南下してすぐのところです。
大人530円、自転車240円。
自転車は25台ほどいたでしょうか。
「淡路島をサイクリングですか?」
年配の男性に話しかけられました。
「ええ、今日と明日で一周します」
「わたしは釣りに行くんです」
その方は黄色い小径の電動アシストサイクルに、折りたたんだ釣り竿を装備していました。
9時ちょうど出港。
乗船客で2階の展望デッキはほぼ席が埋まっています。私は先ほどの男性と一緒の席に座りました。
男性は神戸市から自走で来たそうで、淡路島には何度も釣りに行っているとのこと。
会社を経営されていて、息子も娘も東京に行ってしまい、跡継ぎはおらず、自分の代で廃業すると言われました。
「これも時代の流れですわ」
昨年、奥さんを脳梗塞で亡くされ、今は一人暮らし。しかし、仕事があるおかげで規則正しい生活が送れ、助かっているとのこと。
私が自転車やマラソンの経験を話すと、
「今70歳やけど、50歳の時、知り合いに誘われて、篠山のフルマラソン、六甲山縦走大会にでました」
「フルは4時間40分ぐらい、六甲山は朝5時に出発してゴールしたのが夜中の10時でした。会社の事務所が2階にあるんですけど、フルの時は階段を横歩きで下りる状態が1日でしたけど、六甲山の時は1週間続きました」
「大会はそれっきり。何か運動せなかんと思って、電動自転車を買って、通勤してます。神戸は坂が多いんで。1800キロ走りました」
さすが関西人、親しくよくしゃべります。
でも、同じ関西でも、大阪は損得勘定が強くて、神戸とは違う、と言われてました。
約13分で岩屋港着。
「道中、気をつけて」
「ありがとうございます」
下船したサイクリストが次々と走り出していきました。
岩屋ポートビルの前の海岸には、その名のとおり、大きな岩が2つあります。
9時27分、150kmの旅の始まりです。
国道28号、路面状況もよく、左手に海岸線を見ながらとても快適に走れます。
自転車も多いですが、それ以上に大型のモーターバイクがとても沢山走っています。
「淡路島バイクフェスタ」の看板。
駐車場には圧倒されるような数のバイクがありました。
それもあってこんなにバイクが多いのか。
津名港を過ぎ、淡路ワールドパーク「ONOKORO」の看板に「想像以上、実物未満」の文字が目に入りました。面白い表現です。
津名から洲本までは交通量が多いです。
道路脇には5kmごとに「淡路島サイクリストロード」の標識があり、岩屋からの距離が示されています。
11時20分、洲本着。34km。
ランチ場所を探します。市役所周りや人通りの少ない商店街、これといった飲食店がありません。イオン洲本店では味気ないです。
結局、バスターミナル内の『珈楽粋(クラシック)』という小さなカフェで、カレーライスを食べました。
「淡路島の玉ねぎをたっぷりと入れ、30種類のスパイスを加え、手間暇を掛けてじっくりと煮込んだ当店自慢のカレーライスです」の能書きどおり、玉ねぎの甘みが効いてコクのある美味しいカレーでした。
「自転車ですか、今日は天気が良いから」と一人で切り盛りしている女性店長。
進行方向、山の上に天守閣が見えます。
あれが洲本城か。
三熊山に登るのは、時間の関係で断念しました。舗装道路もありますが、2kmの坂道を自転車でのぼるのは、この先のアップダウンを考えるときついです。
国道から県道76号線へ。
洲本温泉旅館街を通過。高級そうな旅館やホテルが多いです。正午過ぎとあって、これから出勤する仲居さんの姿がありました。
由良地区。ここから急なアップダウンが続く道に入ります。どれくらいの勾配の坂なんでしょうか。道幅が狭くなり、木々に覆われて海岸が見えなくなります。いかにも山道に入った感じです。
生石(おいし)公園との分岐を右へ。本格的な上り坂が始まりました。
平均勾配8%。
これはきついです。
途中45km地点の標識。
いったん自転車から降りて小休止。
唸りを上げて何台ものオートバイが上っていきます。
立川水仙郷という、怪しげなスポットがありました。閉鎖されたドライブインの建物が建っていて、洲本八景の石柱がありました。眺めは素晴らしい。でも、錆びた柵があって写真を撮るには適していません。
少し進むと、遮るものが何もない、海と山の絶景ポイントがありました。ここならベストショットが撮れそうです。
そこへ、男性5人のサイクリスト集団がやって来ました。
「お~! すごいイイ景色」
結構年配のグループで、私より年上と思われる人もいました。
写真を撮り始めたので、その中の一人に撮影を頼みました。
「機械音痴なんだけど。だけど、カラオケは上手いよ」と言いながらシャッターをいしてくれました。
「この先は下り坂だから気をつけて」
「上りも気をつけないと、心臓が止まるといけないから」
洒落の上手な人達です。
何度かアップダウンを繰り返して、海岸線に出ました。南淡路水仙ラインだそうです。55km地点、60km地点と、平坦な道が続きます。民家は見当たりませんし、途中、淡路島モンキーセンターや灘黒岩水仙郷がありますが、見物客はほとんどいません。
先ほどの5人組はスピードを上げて行ってしまいました。
道幅が広くなり、左手海上に島が見えてきました。沼島です。
土生(はぶ)港から連絡船が出ていて、島に渡れるようです。
2回目の急なアップダウンが続く道です。
1100mで平均勾配8%の標識。
頑張ってペダルを回しましたが、明日もあるし、無理してもいけません。押して歩いて上ることにします。それでも息が上がります。
「海釣り公園か、それより足がつりますよ」と5人組の一人が言っていた冗談が思い出されます。
坂を下りたところで左折し、県道25号線へ。
しばらく進むと、「この先登坂」の標識が。3回目の急なアップダウンが続く道です。ここも押して上ります。
坂を下ると、前方に何艘もの船が見えてきました。福良港です。
淡路島海上ホテルが左手にありました。
今回の宿泊先については、出発前に南あわじ観光案内所に問い合わせました。ネットで調べても実態がよくわからなかったからです。
紹介されたのが、とみ栄荘、長尾屋、淡路島海上ホテルでした。2軒は満室で断られ、決めたのが長尾屋でした。
15時25分、道の駅福良に到着。
うずしおクルーズや足湯、お洒落な店もあって、観光客で賑わっていました。バイクスタンドにもロードバイクが何台も掛けられていました。
チェックインの午後4時まで時間があるので、店頭が賑わっていた『G.ELM』でアイスクリームを注文。
「あと、コーヒーと黒ごましか残っていないんですが」
「じゃあ、黒ごま、お願いします」
そのすぐ後に「完売のため閉店しました」の表札が入口に掲げられました。とても人気店のようです。
確かに黒ごまの食感が非常に絶妙で、コーンもサクサク。とても美味しかったです。しかも300円とお値打ち。これなら売り切れるはずです。
長尾屋は鉄筋4階建てですが、昭和50年代以前の古い建物です。設備はきれいとは言えません。
タオルと歯磨きはありますが、コップも紙コップでちょっと味気ないです。
浴室は建物の大きさの割には小さいです。せめてトライヤーぐらい置いておいて欲しいと思いました。
午後7時から夕食。2階の和室でテーブル席です。
食卓には私以外にもう一人男性客のみです。
宿で食事取らない宿泊客がもう一人いるだけのようです。
食事は漁港の町らしく、魚の煮付け、魚の塩焼き、魚の天ぷら、刺身、たこぶつの酢の物、もずく、牛肉の鍋以外は海産物三昧。ボリューム満点で味もまあまあ。お腹一杯になりました。
3階の自室(飛島の間)に戻って、寝そべりながら、テレビでラグビー観戦。今日はベスト4を懸けて、日本代表と南アフリカ代表との準々決勝です。
グループリーグを4戦全勝、1位通過し、目標のベスト8を達成した日本ですが、さすがに過去2回優勝経験のある南アフリカは強かった。パワーもスピードも日本を圧倒し、3対26で日本は敗れました。
天気予報を見ると、台風20号が発生し、明日は近畿地方南部では昼頃から、北部も夕方から雨に変わっていました。
これはまずい。ゆっくりしていられません。昼頃に岩屋に戻れるよう、途中で昼食を取るのは止めて一気に走ろう、と計画変更し、布団に入りました。
使用自転車:BRUNO B-ant 406 Steel
1日目
走行距離:82.2km
走行時間:4時間54分