0058 探訪あいち・東近江観光サイクリング

■2014(平成26)年6月14日(土) 晴時々曇

 滋賀県は、東京、京都、奈良に次いで全国で4番目に国宝の多い県です。京都や奈良に隣接し江戸へのルートでもあったからに他なりません。2013(平成25)年9月に水郷と近江商人の町・近江八幡と国宝の城下町・彦根を訪れた際、自転車で巡るには最適なコースだと思い、今回の探訪あいちを実施しました。

 近江八幡駅北口に9時20分集合としていましたが、時間になっても誰も現れません。先回に続いて、今日も参加者なしなのかと思っていたら、クラポンさんから携帯に連絡がありました。降りる駅を間違えたとのこと。

 30分遅れて、クラポンさんと友人の方2人が到着しました。
 本日の参加者は4人。クラポンさんとSさんは、自転車を通じて知り合ったとのこと。若いYさんは、Sさんの職場の部下だそうです。Sさんは私と同級生で、花の中3トリオ世代。同志のような親近感をおぼえます。
 クラポンさんの自転車は年代物のクロモリロード。知り合いから譲ってもらったそうです。塗装し直しているのでどこのブランドかわからないが、おそらくブリヂストンらしいとのこと。パーツもかなり以前のシマノ105。他の2人が乗っていたコラテックやフェルトよりも、私はこちらに惹かれました。最近の太くてゴテゴテしたデザインのフレームよりも、細身でシンプルな方が、今は好きです。

 それでは、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている近江八幡の古い町並みに向かって出発します。

 近江八幡近江商人の活動拠点として、また、豊臣秀吉の甥・豊臣秀次の八幡城築城に合わせてつくられた城下町でもありました。
 市営駐車場の角を右折して最初に目に入るのが、「朝鮮人街道」の石柱です。江戸時代には一般に鎖国の時代と思われていますが、朝鮮と琉球とは信を通わす外交のある国「通信の国」、中国とオランダとは貿易船の来航を認める「通商の国」と定められていました。その朝鮮からの使節朝鮮通信使」が通った道が「朝鮮人街道」でした。この街道は別に「京街道」あるいは「彦根道」とも呼ばれ、現在の東海道本線の東側を通っていた「中山道」と別ルートで発展した道です。

 国重要文化財になっている旧西川家のある新町通の町並みは、近江八幡のなかで最も情緒あるスポットでしょう。Sさん曰く「もう一度訪れてゆっくり観光したい」。

 八幡堀は近江八幡の代表的な景観名所で、時代劇のロケ地としてしばしば利用されています。
 白雲館には、水戸黄門銭形平次暴れん坊将軍大岡越前、遠山の金さん、などのロケシーンを撮影した写真が展示されています。
 明治橋の袂で売っている近江牛コロッケは、スーパーのコロッケとは違って、牛肉の味がして格段に美味しい代物です。その橋と堀をバックに、団体観光客のおばちゃんの一人にシャッターを押していただきました。

 明治橋を南下すると、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ(William Merrell Vories)の像とメンタームでお馴染みの株式会社近江兄弟社本社があります。
 近江兄弟社という社名は、創業者ヴォーリズの愛した『近江』の地名と、クリスチャン精神に基づき目的に向かって心を一つにする仲間という意味を持った『人類皆兄弟』を合わせて、命名されました。

 ところで、メンタームとよく似た商品にメンソレータムがあります。実は、メンソレータムはもともと近江兄弟社の商品だったのです。しかし、経営が苦しくなり、メンソレータムの販売権はロート製薬に買収されてしまいました。
 近江兄弟社は、その後大鵬薬品工業の資本参加で再興を図り、メンソレータムの製造設備を利用してオリジナルの類似製品を販売することにしたのですが、メンソレータムの商品名を使うことができなくなっていたため、メンソレータムの略称として従前より商標登録してあった「メンターム」を商品名として用いることとしたのです。この「メンターム」を、自社の主力ブランドとして育て、今に至っています。
 「メンソレータム」と「メンターム」。ちょっと紛らわしいですね。でも今は、「メンソレータム」の方が有名になっているのではないでしょうか。

 近江八幡を後にし、円山町の交差点を右折。「きぬがさロード」を走る。水郷巡りの船や西の湖のキラキラした水面を見ながらペダルを回すと、自然と「気持ちいい道ですね」の言葉が出ます。
 能登川水車に到着。ふるさと創生事業(竹下登首相の発案によって1988年から1989年に実施の国の政策で、各市区町村に対し地域振興に使える資金1億円を交付した公共事業)で復元したという巨大な水車が目を引きます。

 11時40分、約20km先の彦根城を目指し、出発。左手に琵琶湖を眺めながら、湖畔沿いのさざなみ街道・湖北サイクルロードを行く。初心者のYさんに合わせ、22~23kmのスピード。

 長曽根町北交差点を右折し、しばらく東進すると左手に堀や石垣が見えてきます。
 そして、彦根城に対峙して堀端に建っているのがスミス記念堂です。外観は寺社建築を模しながら、梁や扉には葡萄や十字といったキリスト教の文様が刻まれた独特の和風教会堂。和洋折衷の変わった建築物です。
 NPO法人スミス会議のちょっと太めの男性の方が、この建物を案内してくれました。昭和6年、彦根高等商業学校の英語教師でもあったパーシー・アルメリン・スミス牧師が、宮大工の宮川庄助氏と協力して建設したものです。
 1996年の道路拡幅工事で解体後、市民病院の跡地に移築されました。建物はスミス会議のものですが、市の土地に建っているため、宗教行事はできないそうです。

 昼食は、夢京橋キャッスルロードにある2階の窓から彦根城が眺望できるロケーションのよい店で、ランチプレートを食べました。
 近江牛のきのこ炒め、シーフードマリネ、デミソースハンバーグ、スープ、サラダ、ご飯orパン付きで850円。オシャレでお得なランチです。

 国宝四城の一つ彦根城界隈は、観光客で賑わっていました。ちなみに国宝の四城は他に、姫路城、犬山城松本城です。
 彦根城は井伊氏の居城ですが、特に幕末の大老井伊直弼は有名です。彦根山に築城されているため、遠くからでもよく見えます。
 時間の関係で城の中の見学は省略しました。

 14時30分、米原駅着。
 「これ以上走ると自力で帰れなくなります」とYさん。
 4人そろって輪行袋に自転車を収め、駅のホームに向かいました。
 私は金山駅から自走なので控えましたが、クラポンさんとSさんはキヨスクでビールを購入。汗をかいた後、列車の中で飲むビールは格別にうまいでしょうね。

サイクリングコース
JR近江八幡駅(午前10時)→ 近江商人の町並み・八幡公園・八幡堀・白雲館等を観光 →〔県道26号線〕→ 丸山町交差点右折 →〔きぬがさロード〕→ 能登川水車 →〔さざなみ街道・湖北サイクルロード〕→ 長曽根町北交差点右折 → 彦根城界隈・夢京橋キャッスルロードを観光・昼食 →〔さざなみ街道・湖北サイクルロード〕→ 入江橋交差点右折 → JR米原駅(午後2時30分)・解散

使用自転車:KHS Manhattan m451S
走行距離:50.3km
走行時間:3時間