0217 ツール・ド・あいち グランフォンド 作手フランク

◆2015(平成27)年9月20日(日) 曇のち晴

 サイクリングに最適の季節となりました。
 今日は気温、風ともに絶好の気象条件です。

 道の駅『つくで手作り村』のフランクフルトを食べよう、との趣旨で「作手フランク」と命名された大会です。
 申込者は75人、ほとんどの方は123kmのロングコースを走るでしょうが、貧脚の私は78kmのノーマルコースです。それでも、累積標高差は1,201mですから、平坦な道を走るのとは訳が違います。

 午前8時、足助警察署近くの香嵐渓多目的広場をスタート。
 最初の信号をロングは直進、ノーマルは右折します。私の前の4人が右折しました。その後9人に抜かれ14番目になったことから、たぶん、私より遅い人はいないと思いますので、ノーマルコースはこの人数でしょう。

 巴川沿いの県道362号線を遡上します。車1台がやっと通れるような道幅、小枝や石ころが落ちていて、これが県道か、と疑うような道です。しかも、水溜まりがあって、コース取りが難しい。自転車もウエアも汚れました。

 「草刈りしてるから、気をつけて!」
 草刈り作業中のおじさんに声をかけられました。
 「ありがとうございます。」

 3台ほど車と行き違いましたが、途中発電所があるだけで、ほとんど民家はありません。林道を走っている感覚です。
 私の前に自転車はいない、後ろにも自転車はいない。このあと、最後まで単独走行でした。

 国道301号に入ると、ツーリングのオートバイやドライブの車に、次々と追い抜かれました。走りを楽しむにはもってこいのワインディングロードです。

 『ミニ美術館ひろ』
 手作りの看板が目に入りました。「入場無料」と書いてあります。
 急ぐ必要はない大会ですから、覗いてみましょう。

 自転車を庭先に置こうとしていたら、
 「どうぞ、見ていってください」
と、おじさんの声。
 少し怪しい雰囲気も感じましたが、入ってみると、そこはアトリエ兼展示室でした。
 展示されている作品は、絵の具をひっくり返したような、現代アートです。私にはよくわかりません。
 名刺をもらいました。
 「KAMIKAZE INOUE」
 「フランス・テーラー財団永久会員」
 「パリ国際サロン会員」
 「日本国際美術家協会会員」などと書かれています。

 「どこから来られたんですか」
 「名古屋からです」
 「えっ、名古屋から自転車で?」
 「いえ、香嵐渓に車を停めて、そこから自転車です」
 「そうですか。どれくらいかかりました」
 「1時間半ぐらいです」
 「そうですか。車でも30分ぐらいかかりますからね」

 それから20分ほど、美術のこと、教え子のこと、美大のことなど、自身の経歴を交えながら話されました。
 35歳で絵を始め、44歳で脱サラしてプロの絵描きになったそうです。
 東京芸大は、偏差値は関係ない、絵が上手なだけでは合格しない、磨けば光る原石を発掘したい、天才・奇才を見つけたい、というのがポリシーとのこと。
 愛知県芸大は、今、最も合格することが難しい美大かもしれない。頭が良くて、絵が上手い人を求め、大学の評価を上げようとしている。島田章三を教授に迎え、奈良美智を輩出して天狗になっている。

 話が長くなりそうです。時計を見ると10時になろうとしていました。
 「それでは、そろそろ失礼します」

 作手の道の駅に向かって挙母街道を南下していると、事務局長さんやFOCUSの山田さんらの集団とすれ違いました。
 もう、フランクフルトを食べたんですね。
 と言うより、私が道草をして遅かっただけです。

 ちょうど10時半に道の駅に到着、38.5km。
 オートバイや自転車がぎっしりと停まっていました。車はあまり目立ちません。ここはツーリングのメッカなんですね。
 レギュラーサイズのフランクフルト(350円)を注文。肉汁がしたたり落ちるジューシーさで、美味しい逸品です。これだけでも結構お腹が満たされます。ジャンボ(500円)やスーパージャンボ(800円)だと、食べきれないかも。

 さて、折り返して、挙母街道を北上します。
 平坦で風も爽やか。その心地よさにクランクもくるくる回ります。
 緑の中に赤い彼岸花が映えて、そのコントラストが素適です。田んぼでは稲刈りが行われていました。実りの秋、収穫の秋を実感します。

 「三河湖」の標識があったところで、左折。再び上り坂です。森の中の道です。
 道路脇に狸の死骸がありました。車にはねられたのでしょう。犬猫の交通事故は街中でも見ますが、さすがに狸の交通事故死は初めて見ました。

 羽布ダムを過ぎると、下り坂に変わります。
 その先に、『香恋の館』があります。
 なぜか、大滝詠一の『恋するカレン』を口ずさんでしまいました。

 香恋の館には、地元の間伐材で作られたバイクスタンドが設置されています。「しもやま再来る(サイクル)プロジェクト」と命名されていました。自転車乗りに大勢来てもらいたいとの思いから作られたようです。ただ、立てかけられていたバイクは、私のビアンキ1台だけでしたが。

 ソフトクリームを食べようと、香恋の館の売店に行ってみると、バニラ、抹茶、黒ごまなど種類があり、店のおばさんに聞いてみました。
 「甘さの違いはありますか」
 「一番カロリーの低いのは抹茶かな。でも、お兄さんなら何を食べても良いと思いますけど」
 私の痩せた体型が、そう言わせたのでしょう。
 抹茶ソフトを食べました。

 国道473号は、延々と上りでした。途中、少しは下りがあるのかと思っていたら、結局、国道420号に行き着くまで上り一辺倒でした。脚が引きつりそうになるところでした。今日のコースの中で最もしんどかった。

 国道420号は最初上りがあったものの、ゴールに向かってダウンヒルです。ペダルを回す必要がありません。苦あれば楽あり。先ほどの坂道を登り切ったご褒美です。

 午後1時11分ゴール。
 グランファンドはきついですが、変化があって面白いです。

使用自転車:Bianchi シクロクロス
走行距離:79.3km
所要時間:5時間11分