0174 道路交通法改正(危険自転車に新ルール)

◆2015(平成27)年6月1日(月) 晴

 危険な違反を繰り返す自転車の運転者に安全講習を義務付けた改正道路交通法が、本日から施行されました。
 運転免許の不要な自転車で講習制度を導入するのは初めてのことです。
 受講の対象となる違反が見つかって赤切符(交通切符)を交付されたり、違反が原因の事故で逮捕・書類送検されたりする摘発を3年以内に2回以上受けると、都道府県公安委員会が受講を命じます。受講しないと5万円以下の罰金が科されます。

 自転車の危険行為は、次の14項目です。

①信号無視
 言わずもがなの違反です。これが一番にあげられているのは、最も違反件数が多い証左です。
 なぜか女性の信号無視が目立ちます。歩行者が信号を守って立ち止まっているのに、平気で横断する自転車がよくいます。信号を守るのは、交通ルールの基本中の基本ですよね。

②通行禁止道路(場所)の通行(通行禁止違反)
 商店街や歩行者天国などで「歩行者用道路」と自転車の通行が禁止されている道路や場所を自転車に乗って通行してはいけません。このような場所では、自転車を押して通行しましょう。

③歩行者用道路での歩行者妨害(徐行違反)
 自転車が通行を認められている歩行者用道路(「歩行者用道路 軽車両を除く」の道路標識です)でも、歩行者に注意を払わなかったり、徐行しなかったりするとNGです。

④歩道通行や車道の右側通行等(通行区分違反)
 車道と歩道などが区別されている道路で歩道を通行したり、道路(車道)の右側を通行したりする行為が当たります。
 道路の右側に設けられた路側帯を通行する行為も違反です。

⑤路側帯での通行歩行者の妨害
 自転車が通行できる路側帯で歩行者の通行を妨げるような速度と方法で通行する行為です。

⑥遮断踏切への立ち入り
 遮断機が閉じていたり、閉じようとしていたり、または警報器が鳴っているときに踏切に立ち入ってはいけません。
 危険行為と言うより、自殺行為に近いと言えます。

⑦左方車優先妨害・優先道路車妨害等
 信号のない交差点等で、左から来る交差車両や、優先道路を通行する車両など、優先車両の進行を妨害したり、交差点に入るときに徐行しなかったりすることも危険行為に当たります。

⑧右折寺、直進車や左折車への通行妨害
 交差点を右折するときに、直進車や左折しようとする車両等の進行を妨害する行為です。

⑨環状交差点安全進行義務違反
 環状交差点内を通行する車両等の進行を妨害したり、環状交差点に入るときに徐行しなかったりする行為です。
 ⑦⑧⑨は、自転車だから許されると勘違いしている人が本当に多いです。これらは自転車も自動車も対等なのです。

⑩一時不停止(一時停止違反)
 一時停止の標識などを無視して交差点に進入したり、交差道路を通行する車両等の進行を妨害してはいけません。
 見通しの悪い交差点では、標識がなくても一時停止しないと衝突の危険があります。

⑪歩道での歩行者妨害等
 歩道の車道寄りの部分や通行指定部分を徐行しなかったり、歩行者の通行を妨害しそうなのに、一時停止しなかったりする行為です。
 自転車は車道走行が原則ですので、歩道では歩行者優先です。もし、歩道で歩行者を死傷させた場合は、100%自転車の責任です。裁判でも歩行者の過失は認められません。
 ベルを鳴らして、歩行者を邪魔扱いする人は言語道断です。

⑫制御装置不備の自転車運転
 ブレーキ装置がなかったり、ブレーキの性能が不良な自転車で走行してはいけません。
 前輪・後輪の一方にしかブレーキがない自転車で走行するのも違反です。
 ブレーキのない、固定ギアのピストで公道を走るのはNGです。

⑬酒酔い運転
 道交法は自動車やオートバイだけでなく、自転車の飲酒運転も禁止しています。しかし、摘発されても自動車運転免許の違反点数の対象にはなりません。
 そこで、愛知県警では今回の道交法改正に合わせて、運転免許を持っている人が酒に酔って自転車に乗った場合、免許停止の行政処分を出せるルールを運用することになりました。

⑭安全運転義務違反
 ハンドルやブレーキなどを確実に操作せず、また他人に危害を及ぼすような速度や方法で運転する行為は危険行為とみなされます。
 今、やたらと目に付くのが、イヤホンやヘッドホンを付けてスマホを凝視しながらの運転です。このような状態で事故を起こした場合も、この違反になることがあります。
 傘差し運転も安全運転義務違反になるのでやめましょう。傘を差して自転車の乗ると、視界が狭くなる上に、片手運転で、ブレーキも一方しか効きません。しかも、滑りやすい路面状況ですから、不安定で危険です。雨のときは明るい色のレインコートかポンチョ、雨合羽を着ましょう。

 今は気軽に誰でも乗れる自転車ですが、昔は一部の富裕層の乗り物でした。自転車は明治30年代に急速に普及し、事故も増えたのでした。警視庁は明治31年(1898年)に自転車取締規則を作り、夜間の無灯火運転などを禁じました。
 それから117年が経ち、今回の道交法改正となったのです。

 「車道の右側を走るのも違反と知って驚いた」という声があるように、自転車は「軽車両」で、車の仲間であるという意識がない人が非常に多い。あまりにもルールを知らなさすぎます。

 一人のサイクリストとして、今回の道交法改正を大いに歓迎します。もっと早く改正すべきでした。
 警察は意識の低い運転者を厳しく取り締まって欲しい。そして、警察官自身が白チャリで模範運転を示し、啓発に努めてください。