0085 幻のウルトラ愛知・宿泊要員

■2014(平成26)年9月6日(土) 曇時々晴、夜雨

 「土曜日に新城市に宿泊してください。ウルトラ愛知の宿泊に協力してほしい。」
 9月3日午後、サイクリング協会の間宮事務局長からメールが届きました。
 スタッフが必要なのだろうか?
 そうではなく、宿泊者が少ないので、穴埋めをしてほしいということだったのです。

 協会のロングライド三河湾一周でお世話になってきた名鉄フェリー・師崎~伊良湖が、今月末で廃航となります。このフェリーを使って愛知県境を一周する、今回限りの企画が「幻のウルトラ愛知」です。
 383kmを1日又は2日で走るなんてことは、私には到底できません。身体が壊れてしまいます。
 土、日は特に用もなく、新城までサイクリングして、宿泊しても良いだろうと思い、了解しました。

 朝8時10分、自宅発。
 旧東海道を巡りながら、ゆっくり進むことにしました。晴れたり曇ったりと、サイクリングには最適の天候です。
 愛知県内には地鯉鮒の松並木、御油の松並木がありますが、安城にも長い松並木が残っています。風雨を和らげ、旅情をアップさせてくれます。笠寺、阿野、来迎寺、大平と4つの一里塚も残っています。
 土曜日とあって、何人もの東海道ウォーカーを目にしました。

 大平一里塚の少し先に西大平藩主大岡家の陣屋跡があります。「大岡裁き」として有名な大岡越前守忠相が1万石の大名になって以来明治まで、陣屋が置かれていました。

 12時10分、藤川宿に到着。
 本陣跡が広場として整備され、高札場が復元されていました。
 ちょうどその真向かいに『紅屋カフェ』という新しいお店ができていました。店頭のメニューを見ると、スパゲティや焼きそばが420円。これは安い! 値段につられて入店。
 4人掛けテーブル2つとカウンター3席、私より少し年上と思われるマスターが一人だけの小さな店です。
 客は私のみ。
 「ウインナー、ピーマン、マッシュルームなどの具材がたっぷり入ったスパゲティ」という謳い文句に惹かれてナポリタンを注文。
 不思議なことにカウンター内の調理設備にはコンロらしきものが見当たりません。どうするのかと見ていたら、何かを電子レンジで温め始めました。そうか、インスタントか、レトルトなんだ。だから安いんだ。
 提供された現物を見て、がっかり。具材たっぷりどころか、細かく刻まれたウインナーとピーマンとタマネギが少々、マッシュルームはその姿がよくわかりません。まさしくインスタントの味でした。

 岡崎の法蔵寺には、是非立ち寄ろうと決めていました。境内の奥まった斜面にそれはありました。少々厳つい顔をした新撰組隊長・近藤勇首塚です。しかし、なぜ、ここ三河の地にそれがあるのでしょうか。

 近藤勇は東京板橋の刑場で斬首、首は京都三条大橋西に晒されました。それを、同士が三晩目に持出し近藤勇と縁のあった京都誓願寺に持ち込みました。
 その住職が三河国法蔵寺の貫主として転任したため、この寺に埋めたと言われています。
 法蔵寺は山の中にあり、大木が生い茂っていて、ひそかに埋葬するのに好適の地でした。
 首塚近藤勇の親族関係者の努力で整備され胸像も建てられたのです。

 赤坂宿のよらまい館で休憩。
 「どこから来たんですか」
 シボレーのミニサイクルのおじさんに声をかけられました。
 「名古屋からです。東海道を走ってるんですか」
 「ええ」
 「京都まで行くんですか」
 「いえ、私も名古屋の方から来まして。東の方へ……、やっと盆休みが2日とれたもんですから」
 Tシャツにハーフパンツ、裸足でクロックス風のサンダル姿。傘をフレームにくくりつけ、前カゴに黒いリュックサックが入っていました。
 どこまで行くのか聞けませんでしたが、どうか気をつけて。

 豊橋の入河屋のミカンソフトクリームは、絶品です。シャーベット状で火照った身体を冷ましてくれます。昨年食べた次郎柿ソフトもグッドです。

 豊橋から90分、4時20分頃、新城市西新町の丸登旅館に到着。しばらくして、豊橋の竹内さんが自転車で、そして、豊川の西川さんが車でやって来ました。
 旅館の玄関先でおしゃべりをしていると、ウルトラ愛知の参加者が続々とやって来ました。

 犬山の成田山を早朝5時に出発したのは15人。うち9人は夜を徹して400km近くを走ります。すごいですね。常人とは思えません。私から見れば雄者です。超人です。
 ここから先の別所街道は、上りですし、人家もまばら、コンビニもなくなります。暗い山道には思わぬ危険が潜んでいるものです。車だけでなく動物が飛び出してくるかもしれません。
 どうかゴールまで無事故で。

 宿泊者はちょうど10人。宿泊要員は先ほどの3人の他、豊橋からもう一人と計4人。大会参加者は6人。25歳の若者が一人、あとは頭が禿げたり、白髪の混じったおじさんです。でも、ブルベをやったり、普段から超長距離を走っている強者ばかりです。
 参加者の中で一番最後に宿に到着した間宮事務局長に、素泊まり代3,500円を支払いました。

 夕飯は、10人そろって台湾料理『海香村』へ行きました。宿の近くには飲食店が少なく、15分ほど歩きました。ビールセット980円を注文。おかずは餃子とニラ玉子炒めの2品。値段の割にボリューム満点ですが、塩気が多い感じがしました。塩分が抜けた身体にはちょうど良かったのかもしれませんが。
 店を出ると、雨が降っています。向かいのスーパーで朝食を買い、ポリ袋をかぶって早足で宿に戻りました。
 今、夜通しで走っている9人は、雨に遭遇していることでしょう。気温も下がっているでしょう。雨宿りするところもないかもしれません。無理せず、事故に気をつけて安全に行ってください。

 旅館では竹内さんと西川さんと私の3人部屋。
 竹内さん(69歳)は、JCAの全国サイクリング大会(全国ラリー)や中部日本サイクリング大会(中部ラリー)には毎年欠かさず参加しているとのこと。自転車で巡った県は43、あと4県で全国制覇だそうです。歴史や地理に詳しく、博学な方です。
 西川さん(57歳)は、自動車関連の製造会社に勤務。サイクリングの他、競輪場でのピスト競技、野球、手筒花火、地名研究会で活動するエネルギッシュな方です。今日も『天狗党』の自転車記録会に参加してきたそうです。
 ビールを飲みながら、お二人の深いイイ話が聞けて、楽しく有意義な夜が過ごせました。


■2014年9月7日(日)  曇のち晴

 朝ぼらけの中、外からの話し声で目覚めました。
 玄関先に出ると、追い込み職人さんが出発するところでした。間宮事務局長は既に出発したようです。
 細かい雨が降っているなか、竹内さんと二人で見送り。6時までには全員が出発して行きました。
 「気をつけて!」

 名古屋で野球の試合がある西川さんは、早々に帰っていきました。
 午前6時40分、竹内さんのGIANT・MR4Rと私のManhattanが宿を出発。路面は濡れていましたが、雨は上がっていました。これから天気は回復に向かうようです。
 竹内さんとは野田城で別れ、県道21号線経由で姫街道東海道の追分に行きました。あとは昨日と同じ道を辿ります。

 国府の辺りで少し小雨がありましたが、天気は急速に回復し、岡崎の市街地に入る頃には、夏の太陽を背中に受けるようになりました。
 明け方は少しひんやりしていたのに、身体の熱が上昇し、頻繁に水分補給が必要な状態です。

 旧東海道沿いにあった安城のJAあいち中央グリーンセンター安城北部にて、『しんしろ茶』を購入(他にも農協オリジナルの『豊橋茶』や『岡崎茶』もありました)。スポーツドリンクやジュースもありますが、後味すっきりのお茶が一番です。

 豊明のケンタッキーで、和風チキンカツサンドを購入。家族の分も入った袋をデイパックに収めます。

 正午前、無事に自宅に到着。道中を満喫できたサイクリングでした。

使用自転車:KHS Manhattan m451S
     走行距離    走行時間
1日目  91.3km  5時間33分
2日目  72.8km  4時間15分
計   164.1km  9時間48分